2020年から世界の自動車市場は大きく変わる様相を呈しています…。北米、欧州、中国では、クルマの環境基準が大きく変わります。
地球温暖化への配慮から、今後、ガソリンエンジンを搭載したクルマや、ディーゼルエンジンを搭載したクルマは、北米、欧州、中国での販売は禁止される方向へと、今、クルマの国際市場は動いています…。
日本のクルマは、かつての“ガラパゴス携帯”のように、日本独自の基準、日本独自の規制を遵守しつつ、国際市場から大きく遅れを取る可能性が高い!そんな中で、ホンダは、国際競争に生き残りをかけたEV車、PHV車の開発を諦めることなく挑んできました!
その結晶であるクラリティが2017年、米国市場で発売になるのではという情報をキャッチしましたので、今回のコラムでは、その情報について書き進めてゆきたいと思います。
クラリティってどんなクルマなのか?
クラリティは2002年リース販売になった、FCXに続く、燃料電池自動車(Fuel Cell Vehicle、FCV)です。
燃料電池自動車の課題は、航続距離と燃料を供給する水素ステーションの普及があり、現在、リース販売されている地域は、アメリカ、日本、ヨーロッパで、アメリカでも水素ステーションが早々に準備された南カリフォルニア州の一部の地域での、リース販売に限定されていますが、まだ全米でのリース販売には至っていません。
日本では2008年11月に環境省に第一号車が納入後、箱根駅伝でその姿を現し、燃料電池自動車が、悪路や厳しい道路条件に適合するかが注目されましたが、低温始動性や勾配などにおける走行性に特に問題はなく、一歩一歩改善工夫を重ね、2017年4月のニューヨークモーターショーで市販化モデルを発表し、いよいよ8月2日にクラリティEVで、米国で発売になりました。
世界の環境基準に適合するために、ホンダが開発を重ねてきたこのクルマは、日本のクルマのガラパゴス化を打破する、柱になる可能性をもったクルマと言えるでしょう。
米国で販売開始が予定されているクラリティは3タイプ!
<FCV>
<EV>
<PHV>
2017年発売となる、クラリティのラインアップは、「クラリティ フューエル セル」(FCV)、「クラリティ エレクトリック」 (EV)、「クラリティ プラグインハイブリッド」 (PHEV)の3TYPEが予定されています。
今回の米国発売で画期的と言えるのは、“クラリティ”というクルマに、燃料供給の方法が異なる3タイプをラインナップしたことにあります。
「クラリティ エレクトリック」は25.5kWhバッテリーを搭載。走行距離は約128km以上を起こります。バッテリー受電完了までに240ボルトで約3時間強。急速充電器を仕様の際には30分で8割の充電が可能となっています。「クラリティハイブリッド」は容量17kWhのバッテリーを搭載し、従来のミドルサイズクラスのプラグインハイブリッド車で最長となる、40マイル(約64km)以上のEV走行を実現しました。また、高効率の1.5Lアトキンソンサイクルエンジンとモーターの組み合わせによるハイブリッド走行では、330マイル(約531km)以上の走行が可能となっています。
さらに「ノーマル・ECON・スポーツ」の3種類の走行モードを、燃費重視やレスポンス重視など、ドライバーの好みに合わせて切り替えることも可能です。バッテリーの充電を優先するHVモードも搭載しており、上記の3種類の走行モードと組み合せることもできます。尚、満充電までにかかる時間は、240Vで2.5時間です。
新たなにラインアップに加わるEV PHVのスペックは?
全長:4.915mm
全幅:1,875mm
全高:1.480mm
ホイールベース:2.750mm
電気モーター
出力:163ps/30.1kgm
バッテリー:リチュウムイオン電池 25.5kWh
直列4気筒1.5Lエンジン + 電気モーター
モーター出力:184ps/32.1kgm
バッテリー:リチュウムイオン電池 17kWh
充電時間:2.5時間
EV走行距離:67km
総航続距離:531km
・衝突軽減ブレーキ
・歩行者事故低減ステアリング
・渋滞追従機能付きクルーズコントロール
・車線維持支援システム
・路外逸脱抑制機能
・誤発進抑制機能
・先行車発進お知らせ機能
・標識認識機能
プラットフォームは共用で、ボディサイズ、エクステリア、インテリアも同じ仕様となっています。先行発売となったFCVは今、流行のクロスオーバーSUVの雰囲気を醸していましたが、EV、PHVに関して低床低高の本格高級セダンの風格を漂わせています。
流麗なフォルムでインテリアも質感、高級感に満ちています。居住空間の快適性も感じ取れ、レジェンドやアコードという本格セダンで培ったそのDENAがここにも継承されているように感じます。
ホンダ 新型 クラリティのまとめ
これからの時代の環境に適合する実用性のあるクルマの登場に、筆者は胸をなでおろしました。
FCV、EV、PHVと所謂、電気自動車への移行に際し、クルマが本質的に備えていなければならない性能=走行性能、安全性能、耐久性、航続力などが交代してゆくのではないか?という危惧がある中、ホンダは未来への挑戦をこうした本質的な機能を損なうことなく、実現させたことに賞賛の拍手を送りたいと思います。
“クルマが幾ら進化しようとクルマとしての魂は、失われはならない。”
これが筆者の持論ですが、ホンダのそのスピリッツはちゃんとこのクラリティにも継承されたことを誇りに思います。
これからの未来、世界の環境基準に適合してゆくために、ホンダ以外のメーカーも開発に力を入れてゆかなければなりません。日本メーカーがこの試練ともいえる環境基準に適合するためにどのようなチャレンジを試みてゆくのか…。
その歩みに注目してゆきたいと思います。