2018年創業70周年を迎えるホンダは、創立50周年を記念して発売し、2009年に発売を終了したスポーツクーペS2000の後継車種を発売するもようです。
今回のコラムでは、S2000の後継車種と目されるクルマが一体どんなクルマであるか、関係先に取材した結果を交えながら、今の段階での最新情報に迫ってみたいと思います。
目次
S2000とはどんなクルマだったのか?
<初代 S2000>
S2000…。それは今までのホンダの常識を覆すような、鮮烈な走りを記憶させたオープンタイプのスポーツカー…。
2.0L直列4気筒DOHC自然吸気エンジン、最高出力250ps/8300rpm、最大トルク22.2kgm/7500rpm、レッドゾーン(最大許容回転数)9000rpmと、現在では考えられないF1用エンジンを彷彿させる高回転型エンジンで登場でした。
コンパチ、スポーツカーファンである筆者は何度かこのクルマに試乗しそのレスポンスを確かめてみたのですが…。
とにかく、このクルマはエンジンが高回転するところで、その力を発揮するクルマでした。
つまり、低回転では、その力強い走りを実感することのできないクルマ。
高回転になるとスポーツカーとしてのレスポンスが失われ、実に大人しい、品のいいクルマで終わってしまいます。
逆にいえば、高回転でのMTシフトの楽しさを存分に味わえるクルマでしたので、カーブな直線といった道路状況に合わせて、適切なシフトを選べば、吹きあがりも抜群で、高トルクを実感できるクルマ…。
しかし、このクルマの魅力や性能を引き出すには高度なドライビングテクニックが必要とされ、筆者レベルのドライバーでは、十分にこのクルマの走行性能を引き出すことはできないことを実感しました。
因みに「走りが大人しすぎる!」という声もありましたが、前述したように高回転でその性能が最大限に生かせるクルマですから、通常のドライビングテクニックを有する人では、その走りを引き出すことはできないので、そういう手厳しい評価が下されたようです。
結局、デビューから10年で製造、販売は終了…。
惜しむ声も聞こえましたが、わりと静かな幕引きだったと記憶しています。
新型 S2000はどんなクルマとしてタイデビューを果たすのか?
関係先への取材からの情報によると、S2000の復活ではなく、まったく新しいコンセプトのもと、新型NSXの小型版で、ZSX もしくはBaby NSXとのネーミングで2018年に発売されるのではないか?というのが最も有力な見方です。
となると、もはやS2000の走行性能を継承することのない、まったく新しいスポーツクーペの登場と考えた方が懸命のようです。
ちなみに今後ホンダのグローバル戦略では、ZSXはヨーロッパ市場で、NSXは北米市場で、スポーツクーペの主軸として展開して行く予定とのこと…。つまり、そのどちらかの日本向け仕様のクルマが、2018年にこの日本で発売になるのではないかとの見方です。
もし仮に、NSXの日本仕様が発売となる際の予想スペックは以下の通りです。
全長:4,250mm
全幅:1,800mm
全高:1,200mm
ホイールベース:2,830mm
エンジン:2L 直列4気筒VTECターボ
最高出力:350ps/6600rpm
最大トルク:40.7kgm/2500rpm
JC08モード燃費:16.0km/L
価格:350万円~400万円
パワートレインのスペックは?
予想されるパワートレインですが、2L 直列4気筒VTECターボではないか?と思われます。これは2017年9月29日に発売されたシビックタイプRに搭載されているエンジンと同型…。
ターボエンジンの効果を簡単に述べれば・・・
(1) 出力向上:過給圧やエンジン強度によりますが,1.3~2倍くらい出力がアップ
(2) ダウンサイジング:最大出力が向上することで,例えばV6の3.5Lエンジンを直4の2.5Lエンジンで置き換えられます
トルクがあるのでエンジンを回さなくても走り、高速など無理に回転数を上げる必要もない。となると、完全にS2000のDNAは失われた、まったく新しいクルマと考えた方が賢明です..。
ただ、最高出力350ps/6600rpm、最大トルク40.7kgm/2500rpmという数字はかなり圧巻…。
コンパクトなボディながらも激烈な走りは期待できそうです。
ベールに包まれた新型 S2000
エクステリアやインテリア情報は今の段階ではまったく入手できていません…。
ただし、オープンコンパチブルタイプのクーペと、通常のクーペの2TYPE が用意されるのではないか?との予想ですし、更に、1.5Lハイブリッドエンジンの搭載されるタイプの登場もあるのではないか?との予想もあります。
しかしながら、現段階での公式な発表はありません。
ホンダ 新型 ZSX Baby NSXのまとめ
これまで関係先取材や寄せられた情報を整理すると、新型S2000は旧来のS2000と比較するとダウンサイジングされたボディ、ダウンサイジングされたエンジンで、走行性能はそれ以上を目指す!というところではないかと目されます。
しかしながら、筆者はホンダのクルマはこれでいい!と勝手に納得しています。
元々ホンダ車いえば、コンパクトでハイパワーを誇るクルマを様々開発、製造、販売してきました。ある意味それがホンダの特徴…。
ロングボディで大排気量を誇る、華美なスポーツカーの時代ではないし、更に高出力でしかそのパフォーマンスを発揮できないクルマでは、ドライビングファンを一般のドライバーでは楽しむことはできません。
ホンダならではスポーツクーペの登場は、スポーツクーペ市場の中でも個性が際立つ、オリジナリティの高いクルマになることが期待されます。
筆者はその登場を愉しみに待ちたいと思います。