1980年代後半、冬、スノーリゾートに出かける際の定番と言えば、三菱パジェロ…。
更に1990年代のRVブームでその人気に拍車がかかり、パリダカールラリーでの幾度もの優勝で、バブル期の初期RV車の定番となり、三菱自動車を代表するクルマの一台として、押しも押されぬ不動の地位を築きあげました。
しかし、他社、他ブランドに追随やSUVブームでライバルが台頭することで、やや人気が低迷…。
何度もモデルチェンジを行い、何とかその伝統を維持してきました。
そのパジェロが、デューククロスという商標特許を取得して2018年モデルチェンジを行うという情報を得ましたので、その情報に迫ってみたいと思います。
目次
パジェロとはどんなクルマだったのか?
写真は、1986年~1991年、バブル期に登場した初代パジェロで、当時の若者世代は(筆者も含めて)このクルマで、夏も冬も、海や野山を駆け回るリゾートドライブに欠かせない一台でした。
ただし、その後、モデルチェンジが繰りかえされて…。
今に至るわけですが、すっかり大人しく変貌を遂げてしまい、フォルムも精悍さを欠き、他社、他車との差別化もあまり進んでいない、大型オフロードSUVとしての道を歩んでしまいました…。
デューククロスの登場で起死回生の復活なるか?
<写真はコンセプトカー>
デューククロスとは、パジェロラインナップにおける最高峰のSUVブランドとして確立が予定されている、ブランド名の呼称です。
本格オフロード仕様で大型SUVの中でも、高級感の漂うクルマへと進化させるもよう…。
デューククロスの登場により、大きく進化させるファクターをまとめると以下の通りとなります。
・エクステリア、インテリアの大幅デザイン変更
・PHVの導入
・パワートレインの改善
ではそれらを一つ一つ検証してゆきたいと思います。
新型 パジェロ エクステリアの変更点
フロントマスクはダイナミックな顔立ちで、グリルと繋がったポジションとウィンカー、独立したヘッドライト、グリル内に埋め込まれたフォグランプが印象的です。
フロントフェイスは「ダイナミックシールド」を採用し、GC-PHEVコンセプトと同様にグリルと繋がったポジションライトやウィンカー、独立したヘッドライトユニットが見えます。ヘッドライトは単独ではなく、3つ縦に配置されています。
サイドビューは、クロスオーバーSUVに多いクーペスタイルで、高級感溢れる仕様に!フロントからテールまで大胆に入ったサイドスリットや、サイドまで伸びるテールが印象的なデザインです。
<出典:COBBY モデルチェンジ情報>
新型 パジェロ インテリアの変更点
ドアは観音開きで、Bピラーが無く、後部座席にもスムーズに乗車できます。
センターコンソールに配置されているスイッチ類は、ドライブレンジセレクター、S-AWC走行モードセレクター、プッシュスタートボタンやインフォメーションディスプレイが見えます。また、サイドミラーが細いデザインになっているので最新のカメラ型ミラーを装備し、運転席のマルチインフォメーションディスプレイの左右にミラーの映像も見えます。
<出典:COBBY モデルチェンジ情報>
新型 パジェロ PHVの導入
パワートレインに関しては後述するとして、アウトランダーPHEVに搭載されている「AC100V電源・1500W」の車内コンセントを使うことにより、アウトドアで様々な家電製品の使用が可能になります。他にも、家庭へ電力を供給することも出来るので、停電時や緊急時に役立つ1台です。
更に災害時に車上生活を強いられても、ある程度対応可能で、次世代のPHVの理想的な姿を体現する一台と言えるでしょう。
<出典:COBBY モデルチェンジ情報>
新型 パジェロ パワートレインは?
エンジンスペックは以下の通りと予想されます。
型式:4M41
種類:直列4気筒
排気量:3,200cc
最高出力:190ps/3,500rpm
最大トルク:441Nm/2,000rpm
燃料:軽油
タンク容量:88L
燃費:10.0km/L
更に、次世代バッテリーやトリプルモーターを搭載し、フロントに1つ・リアに2つのモーターで制御する「S-AWC(フルタイム4WD)」により、安定した走りを実現するとされています。
その他装備予測
モデルチェンジするパジェロに搭載されると予想される装備は、安全装備の「e-Assist」や「MITSUBISHI CONNECT」に、「衝突被害軽減ブレーキシステム」や「車線逸脱警報システム」「レーダークルーズコントロール」「誤発信抑制機能」などの安全装備や、周りの車や道路状況と通信して情報共有するコネクテッドカーの技術、モーターと電池を使ったEV走行・ハイブリッド走行を可能にするPHEVシステムを装備することが予測されています。
<出典:COBBY モデルチェンジ情報>
究極の国内最高峰大型SUV誕生の予感
これからの時代は、燃費効率の改善と環境基準への適合、そして安全装備の充実といった様々な条件を満たし、安心、安全かつ、快適な走りを実現させることが求められます。
特に本格オフロード仕様の大型SUVとしては、過酷な状況下におけるタフな耐久力が求められることは言うまでもなく、環境基準に適合したPHVを投入するのは、厳しいのではないかというのが大方の見方です。
ところが三菱はこの難題をクリアし、パジェロにPHVを搭載する決断を行ったことは、実に、大きな進歩と言えるでしょう。
ライバルトヨタは、TJクルーザーにようやくハイブリッドを搭載する決断をくだしましたが、ランドクルーザーへの導入はまだ進んでいないもよう。
それに先駆けて、このクラスの車種で、PHVの導入を図り、更にエクステリア、インテリアともに大きく進化させたこの軌跡は、伝統のパジェロの復活を彷彿させます。
三菱自動車のグローバル戦略!今後のSUVラインアップは?
<出典:2015年度 第3四半期決算説明会資料>
以前にも、このコラムで、三菱自動車が、今後、SUVラインナップを強化し手行く方針であることは、取り上げましたが…。
筆者が注目したい点は、三菱は確実に、日本の国内市場のみならず、世界市場においての生き残りをかけて真剣な取り組みを見せているということです。
これからのグローバル市場で生き残るためには…。
・燃費効率の低減
・国際環境基準に適合するための、排出CO2の削減
・安全装備の充実
・自動運転技術の向上
等が挙げられます。
そんな中で、先日アウトランダーのモデルチェンジの際にも紹介したとおり、三菱はPHEVの充実に力を入れ、燃費効率の低減と環境基準への適合に注力。このパジェロ復活にかけてもその意気込みが伝わってきます。
パジェロは、このクラスにしては配慮されたクルマとなった一方で個性が削ぎ落され、ライバルに水をあけられる結果になりましたが、今回のモデルチェンジでは、果敢に様々な課題に取り組んだことで、実にバランスの取れた、様々な課題を解決するクルマの開発に成功したといえるでしょう。
このパジェロをフラッグシップとして、このバランスあるクルマ開発をどうラインナップに反映させるか?そこに注目が集まります…。
三菱 新型 パジェロのまとめ
今回のモデルチェンジ予想通りのクルマが登場すれば、間違いなく、国内市場における大型オフロード仕様のSUVカーの中で、国内最高峰となると思われます。
SUVライナップの充実をテーマとして取り組んでいる三菱の真価が問われるこのパジェロのモデルチェンジ…。
大いなる期待と共に、このクルマの登場を待ちたいと思います。